盆踊りはご先祖様へのおもてなし
コロナ禍、数年ぶりにイベントやお祭りが戻ってきた2023年。
今年の夏は、盆踊りを開催する地域も増えました。
盆踊りはもともと、お盆にあの世から戻ってくるご先祖様の霊をもてなし、一緒に楽しく過ごして送り出すための行事。
盆踊りに欠かせないやぐらやお面も、実はご先祖様の霊をお迎えするアイテムの一つです。
やぐらは背が高く、提灯の灯りが華やか。遠くからでも目立つため、帰ってきたご先祖様たちが集まる目印になります。
一方でお面は、
「生者も死者も身分も関係なく、
みんな一緒に盆踊りを楽しめるように」
という意味を持ちます。顔を隠すことで、誰もが気兼ねなくお祭りを楽しめるというわけです。
黒い頭巾や編み笠で顔を隠す地域も
地域によっては、お面ではなく頭巾や笠で顔を隠して踊るところもあります。
たとえば、日本三大盆踊りの一つである、秋田県の西馬音内(にしもない)盆踊りでは、目だけが出た黒い頭巾や、優雅な編み笠をかぶって踊る人がいます。
黒い頭巾は亡者の姿を表しているとされ、未成年の女性がかぶります。一方で編み笠は成年女性がかぶります。
編み笠の中には花などの装飾が付けられた華やかなものもあり、こうしたお花には、霊の依り代としての役割があると言われています。
年若い霊も年配の霊も、頭巾や編み笠、お面などで顔を隠して、現世の人たちと楽しく踊る――。そんな、ご先祖様たちを想う気持ちから生まれたのが盆踊りのお面や笠です。
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普段は頭や首に引っかけていることも多いお面ですが、
たまにかぶってみると、ご先祖様たちが喜んでくれるかもしれませんよ。
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堀田 尚宏(Hotta Naohiro)
八幡神社(岐阜県養老町)の神職さん。
2004年に阿智神社(岡山県倉敷市)に奉職以来、20年にわたり神職を務める。
日本国外で最古の歴史を持つハワイ島の『ヒロ大神宮』の7代目宮司。現在は神職と兼任して、実家が経営する業務用串カツメーカー『オグラフーヅ』の専務も務める二刀流。
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■谷口松雄堂ブログ編集担当より
神と紙にまつわるお話を、神職の方にお話いただけました。神社やお寺に参拝へ行くときに、知っておくとより楽しいお話をシリーズでお伝えします。
→→→これまでの「かみかみコラム」
・御朱印帳【全3回】
・「かみ」の雑学【全2回】
・人形(ひとがた)を使ったお祓い【全2回】
・ジブリ映画に鬼滅の刃...大ヒットアニメも参考にしたお面とは?
・盆踊りのお面は先祖の顔を隠すため?