日本の伝統的な絵柄や模様には、人の想いに基づいたさまざまな意味が込められています。
例えば、雄雌そろって子育てをする千鳥を描いた「千鳥文(ちどりもん)」には家内安全や夫婦円満の想いが、亀の甲羅をあしらった「亀甲(きっこう)」には繁栄や長寿を願う想いが込められています。
そうした模様を着物や器、小物などに用い、見る人や受け取る人に想いを伝えてきたのが日本人でした。日常的に着物や和紙に触れる習慣がなくなった現代でも、想いの込もった和の模様は扇子のデザインや封筒の絵柄になり、さまざまな場面で生き続けています。
かつての人々には、自分が書いた書を表装して飾り、色紙に好きな絵や文字をかいては大切に残しておくという習慣がありました。
作って終わり、もらって終わりではなく、大切なものやもらったものは、飾って、眺めて楽しむという文化があったのです。
人の想いを受け取ること、ものを大切に使い、飾って楽しむこと。あらゆるものが目まぐるしく過ぎ去っていく現代において、私たちが忘れかけていた和の文化に触れる喜びを、和の製品を通じて思い出していただければと思います。