八百万の神が会議を行う神無月の出雲大社
旧暦の10月を指す「神無月」。この月は日本各地の八百万の神が出雲に集まり、「神議(かむはかり/かみはかり)」という会議を行うといわれています。
出雲以外の地域では、神様が留守になるので「神無月」と呼ばれ、神々が集まる出雲では「神在月」といいます。
神々をお迎えする出雲地方の10月は神事続き。出雲大社をはじめとする各地の神社で、「神迎祭」「神在祭」「縁結大祭」「神等去出祭」と次々に神事が行われます。
ちなみに、「神議」で神たちが話し合うのは、人々の縁について。人の縁にかかわるあらゆるつながりについて決めるといい、男女の縁もその中の一つです。
八百万の神が出雲に集まる理由とは?
ところで、八百万の神が集まるのはなぜ出雲なのでしょうか。
一説では、出雲大社に祀られる大国主大神(大穴牟遅命/大己貴命)が、神々の世界を治める神だからと言われています。
日本書紀によると、大国主大神は日本を造った神。国を造ったあと現世を天孫(皇室)に譲り、大国主大神は神事(かむごと/かみごと)を治めることになったそうです。そこから、日本中の神様が出雲に集まるという逸話が生まれました。
なぜ旧暦の10月に集まるのかについては諸説ありますが、よく言われているのは、この時期はお祭りが少ないというもの。旧暦の10月を現在の新暦に当てはめると10月下旬から12月上旬になるので、秋のお祭りもひと段落しています。神々がゆとりを持って集まれる時期を選んだのかもしれませんね。
八百万の神が集まる出雲大社にお参りをすれば、神々が縁結び会議の議題にあげてくれて、人の縁にまつわる願いが叶いやすくなるかもしれませんよ。
堀田 尚宏(Hotta Naohiro)
八幡神社(岐阜県養老町)の神職さん。
2004年に阿智神社(岡山県倉敷市)に奉職以来、20年にわたり神職を務める。
日本国外で最古の歴史を持つハワイ島の『ヒロ大神宮』の7代目宮司。現在は神職と兼任して、実家が経営する業務用串カツメーカー『オグラフーヅ』の専務も務める二刀流。
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■谷口松雄堂ブログ編集担当より
神と紙にまつわるお話を、神職の方にお話いただけました。神社やお寺に参拝へ行くときに、知っておくとより楽しいお話をシリーズでお伝えします。
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