満月に見立てた丸いお団子
十五夜のお供え物といえば、まずイメージするのが月見団子とすすきですよね。
月見団子は一般的に、満月に見立てた丸い団子をお供えします。団子の数は、十五夜にちなんで15個という地域もあれば、1年の年数に合わせて12個(うるう年は13個)をお供えするところもあります。
また、丸い団子ではなく、あんこを巻いた団子をお供えする地域もあるようです。
十五夜は、月の神様に収穫の感謝を伝える行事ですから、団子の形や数についても、
「これでなければいけない」ということはありません。
地域やお好みに合わせてお団子を用意し、三度三度の食事をいただける生活に感謝しながら、
ゆったりと中秋の名月を眺められるといいと思います。
ちなみにすすきは、まだ穂が実っていない稲の代わりに飾り始めたという説があります。
旧暦の8月15日は、稲の収穫には早い時期。
そこで、すでに穂が出ているすすきを、稲穂に見立てたというわけですね。
里芋は子孫繁栄の縁起物
収穫祭の意味を持つ十五夜の祭事では、団子やすすきの他に、秋の草花や味覚もお供えする地域が多いようです。
植物では、
はぎ
ききょう
くず
なでしこ
おばな(すすき)
おみなえし
ふじばかま
「秋の七草」を花瓶にさすのが一般的。
一方で、秋の味覚としてお供えされてきたのが芋です。
十五夜となる旧暦8月15日は、芋の収穫期にあたるため、この日の月は「芋名月」とも呼ばれます。
芋には、山芋、さつまいも、里芋などいろいろな種類がありますが、古くから十五夜でお供えされてきたのは里芋。
里芋は一株から、子芋、孫芋とたくさん増えることから、子孫繁栄の縁起物と考えられていたようです。
十三夜は「栗名月」
なお、十五夜から約28日後の旧暦の9月13日の夜を、「十三夜」といいます。
十三夜は、十五夜に次いで月が美しいとされる夜。
台風シーズンの十五夜よりも晴れることが多いので、次第に広まったとされています。
十三夜では、芋の他に栗や豆をお供えすることが多いため、芋名月ならぬ、「栗名月」「豆名月」などとも呼ばれます。
2023年の十五夜は9月29日
十三夜は10月27日です。
9月29日はちょうど満月、10月27日も満月の2日前なので、空が晴れれば輝く月夜となることでしょう。
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秋は1年の中でも、もっとも月が美しく見える季節。
そして、食べ物もおいしい季節です。
空が晴れたら、月見団子と旬の食材を用意して、
感謝の気持ちとともに、秋の風情を楽しんでみてくださいね。
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堀田 尚宏(Hotta Naohiro)
八幡神社(岐阜県養老町)の神職さん。
2004年に阿智神社(岡山県倉敷市)に奉職以来、20年にわたり神職を務める。
日本国外で最古の歴史を持つハワイ島の『ヒロ大神宮』の7代目宮司。現在は神職と兼任して、実家が経営する業務用串カツメーカー『オグラフーヅ』の専務も務める二刀流。
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■谷口松雄堂ブログ編集担当より
神と紙にまつわるお話を、神職の方にお話いただけました。神社やお寺に参拝へ行くときに、知っておくとより楽しいお話をシリーズでお伝えします。
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