神と紙。
「かみ」と発音する両者には、実は深い関わりがあります。
日本人は古来より、神さまや先祖への祈り、願いを紙に込めてきました。
たとえば、穢れを祓う禊で使われる「人形(ひとがた)」。
人形(ひとがた)とは、人の形に切った紙のことで、これに自分の穢れや罪をうつし、川などに流して身を清めてもらいます。
また、しめ縄についている紙垂れにも、古代の日本人のアイデンティティと、神さまへの祈りの気持ちが込められています。
しめ縄に付いている紙垂れは、和紙をジグザグに折って作られています。
雷、を知る。
しめ縄に付いているギザギザした形が表しているのは、実は「雷」。
古代の日本人は、雷がたくさん鳴る時期を過ぎたら稲が実ることから、「雷と田んぼが愛し合うことで稲に魂が宿る」と考えていました。
稲作は命をつなぐために欠かせないもの。つまりアイデンティティそのものです。
その稲作を守ってくれる雷と、それを落とす神さまへの感謝。そして、翌年の豊作への願いを込めて、雷のモチーフを作るようになったのです。
考えてみれば、雷という漢字は、「雨」と「田」から成りますし、稲妻は「稲の妻」と書きます。
こうしたことを紐解いていっても、昔の日本人が、稲作と雷に深いつながりを感じていたことが読み取れます。
そして、それだけ大切で神聖な雷への想いを、紙に託して神さまに届けようとしたのですね。
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紙だけではなく、「髪」「噛み」など、「かみ」と発音するものは、
人にとって大切なものばかりです。
その中でもとりわけ「紙」は、神さまと深いご縁がある「かみ」だと言えそうです。
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堀田 尚宏(Hotta Naohiro)
八幡神社(岐阜県養老町)の神職さん。
2004年に阿智神社(岡山県倉敷市)に奉職以来、20年にわたり神職を務める。
日本国外で最古の歴史を持つハワイ島の『ヒロ大神宮』の7代目宮司。現在は神職と兼任して、実家が経営する業務用串カツメーカー『オグラフーヅ』の専務も務める二刀流。
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■谷口松雄堂ブログ編集担当より
神と紙にまつわるお話を、神職の方にお話いただけました。神社やお寺に参拝へ行くときに、知っておくとより楽しいお話をシリーズでお伝えします。
御朱印帳
【第一回】平清盛も御朱印をもらっていた !?
【第二回】御朱印帳の紙は真っ白と茶色のどちらが正解?
【第三回】神社とお寺で御朱印帳は分けるべき?
「かみ」の雑学
【第一回】 髪、噛み、紙...、神さまと「かみ」の深い関係
【第二回】 紙垂のギザギザに込められた想い