低かった陰陽師の地位
NHK大河ドラマ『光る君へ』では、天皇に譲位を決断させたり、新皇の即位日まで決めてしまうなど、政局にも大きな影響をおよぼしている安倍晴明。陰陽師の朝廷での地位は、いったいどれくらい高かったのでしょうか。
当時のお役所は、祭祀担当の『神祇官』と、国政担当の『太政官』という二官があり、太政官の下に大蔵省や宮内省などの8つの省(八省)がありました。
陰陽師が所属していた『陰陽寮』は、八省のうちの『中務省』に属します。
中務省は天皇の命令である『詔(みことのり)』を作ったり、宮中行事を担当をしていましたから、八省の中でも特に重要とみなされていた機関だったようです。
とはいえ、当時の陰陽寮のトップである陰陽頭の最高位は『従五位』。これは、貴族の中では最下級のポジションです。
祭祀においては神祇官が別格の存在ですし、祭祀の内容などで陰陽師と神祇官で意見が分かれると、陰陽師に勝ち目はなかったのではないでしょう
陰陽師のトップスター
ただ、陰陽師のトップスター・安倍晴明はやや様子が違っていたかもしれません。
天文学や霊術によって宮中の異変を次々に言い当てた安倍晴明は、花山天皇や、太政大臣(太政官のトップの藤原道長)から絶大な信頼を得ており、天皇からの勅命で占いとしていたとも言われます。
最終的には、天皇の生活の場・清涼殿に上がることを許される『従四位』にまで上り詰めた安倍晴明。異例の出世を果たしたトップスターは、陰陽師のその後の社会的地位向上にも貢献したのかもしれませんね。
堀田 尚宏(Hotta Naohiro)
八幡神社(岐阜県養老町)の神職さん。
2004年に阿智神社(岡山県倉敷市)に奉職以来、20年にわたり神職を務める。
日本国外で最古の歴史を持つハワイ島の『ヒロ大神宮』の7代目宮司。現在は神職と兼任して、実家が経営する業務用串カツメーカー『オグラフーヅ』の専務も務める二刀流。
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■谷口松雄堂ブログ編集担当より
神と紙にまつわるお話を、神職の方にお話いただけました。神社やお寺に参拝へ行くときに、知っておくとより楽しいお話をシリーズでお伝えします。
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